ホスピタリティ

今なぜホスピタリティなのか?

第四次産業革命時のAIにこそホスピタリ ティの付加価値は大きくなります

科学や技術の発達した第三次産業時代では「コンピューター」が登場し自動化が進みました。そして、第四次産業革命では様々なモノはインターネットでつながり、それを「AI」が制御するようになると私たちの仕事や働き方は大きく変貌すると言われています。

そうなると、サービス産業も将来お客さまに接するところ以外は全てAIで処理されるようになり、人にしかできない高度なホスピタリティ技術が必要とされます。

つまり、たとえ優れた商品であってもそれだけでは市場で優位に立つことはできません。販売意欲のある消費者に自社商品を選んでもらうには、もう一つ重要な要素が必要です。それが人にしかできない「心や気持ち」を考えたおもてなしの基本であるホスピタリティなのです。

日本人は本来、人に対する思いやりや優しさをもち合わせていましたが、残念ながら今日の社会では、こうした民族的な特性が発揮される場面を見る機会が少なくなっています。

しかし、私たち日本人がホスピタリティを理解するのはさほど難しいことではありません。
むしろ、ホスピタリティは簡単に理解できるもので、日本人本来の思想や性質に融合し易いものです。
ただ、これを効果的に発揮することに多くの人が手こずっているので す。

日本国民の、70%近くがサービス産業従事者にもかかわらず、私たちはサービスについてしっかり学んだ経験がありません。小学校から大学まで学業を学び、さらに専門課程へと知識を身につけてきましたが、サービスについて学んだ人はほんの一握りの人しかいない、この事実から目を背けるわけにはいかないのです。

でも、仕事のシステム、技術、知識を理解するうえではAIが対応してもAIで対応できない「相手の気持ちやニーズをいち早く読み取って心からのおもてなしをするホスピタリティ」は益々ビジネス社会にとって重要な要素となるでしょう。

ぜひ日本人の得意なホスピタリティの能力をもって、これからのAI時代に一流のお客さまへのおもてなしを一流のスタッフがその価値を提供することができますように期待しています。

ホスピタリティとは何か?

ホスピタリティとは、相手を思いやる心と言葉と行動によって表現されます

ホスピタリティという言葉は、本来ホテルなどの接遇の原点として使われていた言葉ですが、今やホテル業界にとどまらず、ほとんどの業界でホスピタリティは、マネジメント・マーケティングと同じように必要不可欠なビジネス要素として位置付けられています。

それでは、顧客との間に生じるホスピタリティとは、一体どんなものでしょうか?
スピタリティを理解するには、まず供給者は従来型の発想を改め需要者側の立場に立ってものを考えなければなりません。

売り手側は「商品を売るためには何をしたら良いのか?」といった発想を改め、「商品を買うために、こんなことをしてもらいたい」という買い手側の気持ちを察した「おもてなしの心」を持つことからはじめることが大切です。 

①サービス産業では人の心が大切

「おもてなしの心」の心とは、私たちが誰でも持っている「人の心」のこと。この「人の心」こそが、サービス産業の原点なのです。「人の心」の中を知るということは大変難しいことで、「人の心」を捉えていないと、相手と一緒に何かやろうとしてもうまく行きません。

友人や家族、学校や企業、社会でも同じで、相手と良い関係を保たなければ、人間関係を広げることができず、遊びでもビジネスでもうまく行きにくくなります。

サービス産業界においてはなおさらで、ホテルやレストランなどのサービス専業業種に限らず、銀行、保険、不動産、病院、学校、小売店、旅行業、輸送業(鉄道・バス・航空・船舶)、公共施設など、人間を相手にしているビジネス全てに当てはまります。

技術や専門知識、商品の品質や品揃え、施設や環境作りにいかに苦心しても、ビジネスとして成功するかどうか分からないのです。

サービスとは無縁に思える第一次産業の農業や漁業でも、「人の心」は大切です。

厳しいい自然の中で物を収穫するので、直接的には資源や技術、人間の体力が重要視されますが、 労力を効率よく生かすにも働く人の心を考えることが大切です。第二次産業の製造業においてもしかり、もちろん第三次産業つまりサービス産業では、一層「人の心」を無視するわけにはいきません。 

②人の心を動かしてこそ商品は売れる

現代は交通や通信網の目覚ましい発達で、世界がますます狭くなっています。商品も溢れかえり、おかげで私たちは欲しい商品をすぐ手に入れることができ、真冬でもスイカを食べたり、世界中の食材を日本にいながら何時でも簡単に手に入れることができます。

パリで流行しているファッションをほとんど時間差なく東京で身につけることができます。
商品の技術レベルや品質も、すでに同じ水準に達しています。

かつて、ソニーがトランジスターラジオで世界に進出したり、カシオの小型電卓に感心している間に、いつの間にかパソコンや携帯電話が市場に出回るようになっています。

IT関連商品だけではありません。多種多様な衣類や電化製品、車から家まで、市場を開歩しています。企業が自社商品を消費者に選んでもらうのは並大抵のことではありません。

まさに食うか食われるかの状況です。こうした新しい時代を生き抜くために、従来の考えを根本的に改めサービスの中身について再確認する必要があるのです。

サービスとは、商品とホスピタリティーがセットになって、初めて成り立つものです。
企業は、人々の望む商品を製造・販売するだけでは競争には勝てません。競争に勝つには、商品とホスピタリティーをセットにしたサービスが必要なのです。サービスが評価されてこそ、中身の商品にも価値が生まれます。

ホスピタリティーが付加されれば、サービスとしての価値が生まれ、その商品が売れるという仕組みを、しっかりと頭に入れておいてください。

商品が売れる理由を、もう一度確認しましょう。

ホスピタリティーを発揮すると「人の心」が動き、「人の心」が動くと商品そのものの魅力に加え、サービスの価値が上昇します。同じ商品を買うのであれば、消費者はよりサービスの価値の高い方を選択します。サービス価値を高めるには、商品価値にホスピタリティーを付加すればよいということです。 

③売り手側の心が買い手側の心を動かす

現代社会では、健康な生活を送っている人たちの「心」や「感情」には、あまり関心をはらいません。大切な問題にもかかわらず、意外に軽く扱われているのが現実です。直接生死にかかわる問題ではないからかもしれません。

例えば、夫婦のいさかい、子供の病気、嫁と姑のトラブルといった家庭内の問題を、誰も職場に持ち込みたくありません。
しかし、家庭内の問題を抱えたまま職場に出たとしたら、どうでしょうか?ある夫婦が、前の晩、子供のことで喧嘩をして、翌朝もお互い怒りの感情がおさまらず、夫はそのまま会社に出勤しますがかなり気持ちが不安定。職場で家庭内の悩みを吐露するわけにはいかず一人で悶々と悩みますが、職場の仲間にしても、元気のなさが夫婦げんかにあるとわかればかえって遠慮して聞けないもの。

家庭内の問題を職場に持ち出すのは、誰もが公私混同と思っているからです。

このように、家庭内の問題を抱えたまま、仕事をして果たして成果があがるでしょうか。

当然、取引先の顧客との交渉にも影響が出てくるでしょう。売り手側の人の「心」と「感情」は、買い手側に影響を与えます。もしこの夫が商品を販売する担当者であれば、販売に影響が出てきます。もしこの夫がホテルのフロントクラークであれば、お客様に心からの笑顔を見せることはできないかもしれません。もし銀行の窓口係であれば、素っ気ない応対になったり、医者であれば、患者を励ますことができなくなるでしょう。

売り手側の企業は、常に社員の心を良い状態にしておかなければなりません。不安定な心を、より安定した状態に戻す努力をしなければならず、これは何も公私混同でもプライバシーの侵害にも当たりません。 

④社員の「心」や「感情」を大切にする

個人的な感情が原因で仕事を阻害するケースは他にもあります。職場での上司や同僚との人間関係、取引先との人間関係、友人や恋人との人間関係、親子の関係、近隣の人との人間関係、本人や家族の怪我や病気などの悩み、金銭的な悩み、老後の悩みと、人それぞれ問題や悩みはいくらでもあります。

一番いいのは悩みの種を作らないことですが、現実 の世界はそうは行きません。
しかし、問題を解決することが出来なくとも、悩みを和らげる方法はあるのです。

例えば、カウンセリング。最近大学では、学生の問題や悩みを聞く機関として、学生相談室にカウンセラーを配置させているところが増えています。企業も社内に相談員やF/R(ファミリー・リレーション)組織をもつところが出てきましたが、まだまだ少ないようです。

特に、中小企業では皆無に等しい状態です。予算がないからといって、人の「心」や「感情」の問題を放置してはいけません。会社のトップが〃社員の「心」や「感情」を大切にする〃と、宣言するだけでも効果があるのです。上司は部下の、同僚は仲間の問題や悩みを聞き出し、一緒に考える環境を整備することが大切です。

中には、個人の問題を上司や仲間に話せば社内で噂になるので、相談する社員などいない、と考える人がいるかもしれません。中小企業の例ですが、社長自ら社員と面談し思いや悩みを聞きだし、人事面で対応しているところがありますが、この会社の社員の評判が顧客から極めてよかったことは言うまでもありません。

企業は「売り手側の心が買い手側の心を動かす」重要性を認識したならば、社員の心を心配する努力を惜しむのは得策ではありません。

簡単に解決できない「心」の問題を抱えた人は、メンタルヘルスの専門家に相談する方法もあります。人に相談するほどでもない些細な事、H常的に起こる小さな問題、悩むほどのことのない病気といったものは、誰もが抱えているので、一人で悩みを抱え込んでしまわないよう周囲の気配りが大切です。

ホスピタリティはどの業種にも共通の役割を果たします。なぜなら全ての企業活動の基本は、商品とホスピタリティを合わせたサービスだからです。

ホスピタリティは顧客とのやりとりの中で発生するものであり、商品を売るためには「人が人にサービスする」

を実行しなければなりません。「人が人にサービスする」関係にある企業には、必ず心の問題が絡んできます。多くの問題を抱えている企業は、相手の立場を考えた心からのおもてなし精神を発揮すれば、必ずや変化が起こります。業績の向上に加え、そこで働く社員の心を救うこともでき、さらに社員の生活も豊かなものに変えることができるのです。 

⑤サービスが売れる構造

サービス産業全盛の現代において、モノが売れるには「商品とホスピタリティ」が大切であることは前述の通りですが、ここで製造業全盛時代とサービス業時代における「モノの売れる構造」をまとめて理解しましょう。

サービス産業社会では、顧客の「心や気持ち」をつかむことも大事ですが、売り手側の「心や気持ち」もホスピタリティを発揮する上で大変重要です。企業は「顧客の心や気持ち」+「従業員の心や気持ち」と両方向の満足度を高める努力が必要です。ただ単に、ES(エンプロイ・サティスフアクション)やCS(カスターマーズ・サティスフアクション)について指導するだけでは、競争に勝つことが出来ません。

ESやCSは、商品そのものの価値とホスピタリティをセットにして考えなければならないのが、いまのサービス産業社会の実体です。「人が人に」サービスするのがサービス業です。この「人」とは、「売り手側の人」と「買い手側の人」を指しますが、この両方の「人」が大切だということを忘れてはなりません。 

⑥全てのサービス産業に重要なホスビタリティ

それではサービス産業全体のフィールドで、ホスピタリティを考えてみましょう。かつて生活に不可欠な米や塩それに酒やタバコなどの噌好品は専売制がとられ、これらの商品はホスピタリティとは無縁の売り手市場でした。電力供給会社の電力供給がストップしたりすれば、国民生活はたちまちパニックに陥ります。つまり電力は国民にとって命にかかわる必要不可欠なラィフラインでもあります。

こうした業種にホスピタリティが必要か?という疑問を持つ人もいるでしょう。
まして国や地方行政機関の公官庁、病院、学校といった機関で、果たしてホスピタリティが必要なのかと疑問をもつ人がいるかもしれません。実は公共機関であっても、ホスピタリティは必要です。むしろ公共機関でこそ、重要な役割を果たすものです。

電力の施設稼働は、電力消費ピーク期間と閑散期間の稼働率が韮離し、決して効率的ではありません。電力会社は夜間余剰電力を買ってもらう努力が必要です。JRはかつて国営鉄道で、国民にとって国鉄は大切な交通手段でしたが、国鉄の抱えた大幅な赤字は、運賃値上げとなって国民生活にはねかえってきました。国鉄は、民間企業の経営姿勢と精査比較され、結果民営化されました。

国民の大きな関心は、旧国鉄の官僚型サービスが果たして本当に改善されるのか、という点に焦点が絞られゞJRはサービス・業績両面の改善を求められたため、民間からも人材を登用して、自力再生への努力を重ねました。国民の評価は様々ですが、旧国鉄に比べれば驚くほどサービスが改善されたといっていいでしょう。

古い企業体質は、民間も官営も世代交代を待たなければ改善されませんが、現代社会は世代交代以上のスピードで変化を遂げています。そのスピードは放物線の軌跡やアメーバーの増殖を見るようで、どこがどう変化するか全く予測不可能ですが、幸いなことにこうした社会でも、人の「心や気持ち」を読むことはできます。つまりホスピタリティは、こうした予測不可能な時代だからこそ有効な手段となるのです。

企業活動だけではありません。病院は人の命を救う機能をもち、その医療技術がすべてだと考えがちです。しかし、果たしてそうでしょうか?学校は研究機関であると同時に子供達のために教育を授ける場です。ただひたすらカリキュラムに沿った教科を教えれば いいと考えがちです。

しかし、果たして社会はそれで納得するでしょうか?

私は、病院も学校も本来、人のためにある施設だと思っています。人に喜んでもらえないのであれば、存在価値はありません。つまり、公共機関であろうと民間会社であろうと、電力会社や鉄道会社であろうと、病院であろうと学校であろうと、どんな業種であろうとも、サービス経済社会では提供する側は買ってもらう側に、喜んでもらう必要があります。

この相手に喜んでもらう手法がホスピタリティなのです。

例えば、ここで誰かにお茶を出してもらうとしましょう。しぶしぶ出されるお茶と心から歓待して出されるお茶は、どちらが嬉しいかというと、心から歓待して出されたお茶の方が、おいしく感じます。ホスピタリティーの妙はここにあります。人が人に何かを提供する場合ホスピタリティは決して無視できないものです。 

⑦サービス業に必要不可欠なホスビタリティ

ホスピタリティは、あらゆるサービス産業にとり重要な意味をもっています。近年産 業の細分化が進んだために提供される事業内容とそれに伴うサービスもまた多岐にわたっています。全ては「人」である消費者に対して、ホスピタリティと商品を提供することで、最高のサービスになるのです

ホスピタリティの重要性とは?

サービス産業の三要素
ホスピタリティ:おもてなし
マーケテイング:販売戦略
マネジメント:管理システム

なぜ企業にとってホスピタリティが重要なのかをここで考えてみましょう。

特にサービス業で商品を上手に売るには、まずホスピタリティというが必要だということを覚えておく必要があります。

この業界で、商品だけを売ろうとしても市場競争に勝つことはできませんが、これを使うと市場競争に勝つことが、充分可能です。

優れた商品を製造したり提供することは、どこでもやっていることで、これだけで市場 競争に勝つことは至難の技です。もちろん商品開発や新しい発想による創造性豊かな商品は貴重ですし、これで競争に勝つ可能性はあります。

しかし、そうした商品はほんの一握りで、大抵の商品は有形にしる無形にしろ、必ず競合相手があるのです。

そうした競争の中で、自社の商品を選んでもらうにはホスピタリティが力を発揮するのです。

商品そのものに魅力がなかったり、売り値が商品川値を著しく上回っていれば、勝負はそこで決まりですが、商品価値や販売価格が他社と同じであれば、消費者がどうしたら自社製品を選んでくれるのか、それをよく考えることが肝心です。

商品を消費者に買ってもらうには、消費者を買う気にさせなければなりません。ここに消費者の「心や気持ち」が、大きく絡んでくるのです。サービス経済社会ではこの消費者の「心や気持ち」を、見逃してはいけないのです。

消費のポイントはモノではなく人にあります。

商品を売るには消費者の「心や気持ち」を動かさなければならず、有形であろうが無形であろうが、商品とホスピタリティーを必ずセットにしなくてはなりません。

モノを売る側は、商品を売ることにこだわり、買う側は商品の善し悪しにこだわります。しかし買う側は、最後にはホスピタリティーで決める場合が多いのです。

サービス業にはホスピタリティというモノをうまく売るためのビックポイントがあることを、決して忘れないでください。

 モノである商品に、人の「心や気持ち」を動かすホスピタリティがセットになっていれば消費者を動かすことができます。市場に出回っている大量の商品から自社商品を選んでもらうチャンスは、ホスピタリティにかかっていると言っても過言ではありません。

新しいサービス経済には、ホスピタリティと商品が、切っても切れない関係にあるということです。

世の中はモノのない時代から、規格大量生産の時代、多品種少量生産の時代と変化し、そして新しいサービス経済時代へと移行してきました。商品だけに頼っていられない時代です。だからこそ私たちはホスピタリティーの重要性を、再認識する必要があるのです。

 

サービスとホスピタリティの違いは何か?

サービスとホスピタリティの違い

①サービスとは

サービスの語源は、ラテン語のserve(奴隷)であり、これが派生してserviceと変化しました。他にも派生語でserve(仕える)、servant(召使)などあります。

サービスという言葉は、主人に対して従者が一方的に奉仕をする意味を持ちます。つまり、サービスを受ける人が主人、サービスを提供する人が従者ということで主従関係もハッキリしています。

また、サービスには提供したものに対しての対価が発生するという特徴があります。

でも現代では一方的な奉仕ではなく、顧客とサービス側との等価価値交換の条件が揃って、初めてサービスが成立すると考えられ、サービス産業従事者の人口比率が高いほど文明国と言われるようになりました。

②ホスピタリティとは

ホスピタリティの語源は、ラテン語のhospes(異国の友、旅行者)でhospesから、hotel(ホテル)、hospital(病院)、hosptality(もてなし・歓迎)、hospis(安らぎ・癒し)といった言葉が生まれました。ここには共通して「困っている人を助ける」という意味があります。

巡礼の旅の途中で、疲れたり空腹や喉の渇きを覚えたり足りした旅人に、現地の人たちが無償で宿屋食べ物を提供したり、病気になった時の手当てをしたりということが「ホスピタリティ」の語源になっていいます。

提供者であるホストが客人であるゲストに喜びを提供し、それに対してゲストが喜ぶことが提供者であるホストの喜びにもなるということです。

つまり、ホスピタリティはサービスとは違い、命じられた仕事として行うものではなく、相手に対価を求める者でもありません。

純粋に相手を思いやる心を持ち、相手の立場に立って物事を考え、お客さまのニーズに応えてもてなし、お客さまに喜こんでいただくという意味になります。

③サービスとホスピタリティの違い

ここで、サービスとホスピタリティーの関係につい述べてみます。

まず、サービスに対する概念は、人によって違います。
「サービスは人が人に有料で奉仕をすることで、受け取る金銭も奉仕料である」と言う人がいます。

こうした理解は半分正しく、半分間違っていると思います。人が人にサービスをする場合サービスを受ける側の立場に立てば、「やってやる」より「やらせてもらう」方が正しいのです。

しかし、サービスとはその程度のことなのでしょうか?サービスという定義には、もつと大切なことがあると思います。

今日のサービス産業は、かつてとは全く異質なものです。人に強要されてサービスを行っている訳でもなく、神に仕えるような奉仕の気持ちでやっている訳でもありません。まして国に仕えるような義務感やボランティア精神からでもありません。

サービスは奉仕などではなく、商品を販売する手段として考える必要があるのです。

まり、モノが売れるということは商品そのものの魅力だけで商品が売れるのではなく、サービスの魅力が加わって商品が売れるという考え方です。

顧客は商品を買う場合、実はサービスを買っていて、その中に商品が含まれていると考えるとわかりやすいかもしれません。同様に、顧客は商品を含むサービスを総合的に価値判断して対価を支払うということになります。

だからこそ、企業側は、ただ単に製品を製造し商品を販売していてはだめで、サービスを販売していかなければならないのです。

品と人の「心や気持ち」をセットにしたものがサービスであり、このセットが対価として価値があれば、サービスは売れるということになるのです。

消費者の立場に立てば、商品とセットになった人の「心や気持ち」に心が動き、サー スを買うということです。形ある商品価値だけでモノが売れた時代は、すでに終わりました。今は人の「心や気持ち」がサービスの価値を決める時代です。この「心や気持ち」が、実はホスピタリティーなのです。 

有形の商品だけがホスピタリティーとセットになって、サービスとして形成されるのかというと、そうとばかりは言えません。例えば、医者や弁護士、ホテルマンやカウンセラー、俳優やスポーツ選手が持っているものは無形の商品です。

つまり特殊な技術や知識、特殊な才能が商品であり、こうした無形の商品についても、ホスピタリティーは大変重要な意味を持ちます。

 つまりホスピタリティーは、顧客が商品を購入する際、生じるもので、サービス産業全体に共通する重要な構成要素と言えるのです。

 

ネギと味噌汁のお話し(マニュアルを超えたホスピタリティ)

経験も技術もない高校を出たばかりの新入のホールスタッフのホスピタリティ溢れる対応の実際にあったお話です。
お客さまを思いやる心がお客さまの心を捉えた「ホスピタリティ」を理解する上で参考になる事例をご紹介します。

4月1日に高校を卒業したばかりの18歳の女性が一週間の新入社員教育、その後2か月間のホテル部門研修を終えてウェートレスとして「和食堂」に配属になりました。

配属になって間もない6月の下旬に、昼食のために3人のお客さまがその和食堂に入ってきました。いつもならば、お客さまを誘導してメニューオーダーを受けるのはヘッドウェーターの役目なのですが、その時は席を外していたために配属になったばかりの新入社員のウェートレスがオーダーを取りました。

お客さまから、「この和食堂で、一番安いメニューは何ですか?」と聞かれ「「1000円のエビ重です」と答えると、お客さまはエビ重を3つ注文されました。エビ重にはお漬物と熱い「お味噌汁」が付いています。

食べ終えて、3人のお客さまは何事もなく帰りました。

それから、3か月ほど経った9月の下旬の昼食時に、また新入社員のウェートレスがヘッドウェーターの留守中にメニューオーダーを受けることになりました。

ウェートレスは、「ご注文はお決まりですか?」と聞くと4人のお客さまの一人が「ここで2番目に安いメニューは何ですか?」と聞かれ、ウェートレスは「1200円の幕の内弁当です」と答えると、お客さまはそれを4人前注文されました。

幕の内弁当もエビ重と同じように熱い「お味噌汁」が付きます。「熱いうちにお召し上がりください」と言ってウェートレスが帰りかけ、お味噌汁のフタが一斉に開かれました。

とその時、その中の一人のお客さまが、ウエートレスに向かって「どうして私の味噌汁の具が他の3人と違っているのですか?」と言って質問してきました。

ウェートレスは、ゆっくりとした口調で、「先日、お客さまがいらっしゃった時、みそ汁の中に入っている具のネギをお残しになりました。私は、てっきりネギがお嫌いかと思いまして、今日は違うものを入れてしまいました。申し訳ありません。早速お取替えします」と言ってお詫びしました。

お客さまはびっくりしたような顔をして、「君は初めて来た客で、それも一番安い料金のメニューのエビ重の味噌汁のネギを残したのを覚えていてくれたのですか?そして、私が嫌いなネギを替えたくれたのですか?」といって大変感激されました。

その翌日から、そのお客さまは毎日毎日違うお客さまをお連れになって、1年間その和食堂の昼食を食べにいらっしゃったのです。

この女性は、なぜそんな対応ができたのでしょうか?男性だったらどうでしょう?大学卒だったらどうでしょう?ベテランだったらどうでしょう?

そうです!性別・学歴・技術・経験は関係のないことです。大切なことは、「相手を思いやる心:ホスピタリティマインド」を持って言動として現れるかどうかということですね。

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